稀に見るとっても美しい作品でした。シラカワPの桜川です。
2週間ほど前、頭の中がトカゴ2の余韻で一色だった私ですが、
多くのブロガーさんがピックアップされていたので思わずクリックした作品でした。
見てよかった。うっかり通り過ぎてしまわなくて良かったと心底思いました。
アイドルマスター あずさ 「桜川」Dirty Old Men シラカワP最初から最後まで完全シンクロする曲と映像。
一度見始めたら画面から目が離せない、まばたきするのも躊躇われる美しい作品でした。
あずささんというアイドルを今まで多くの方が魅力的に描いてこられましたが
こういう切り口で描く方法もあったのかと驚きです。
この作品では既にあずささんは亡くなった人として描かれていて
曲も作者コメにあるとおり悲しい歌詞です。
でも、他の方も書かれていた方がいましたが、私も泣きたくはならなかった。
ただその描写の凄さに圧倒されるばかり。
死というものを扱っている為、本来であればデリケートなテーマなのかもしれませんが
そういうものを微塵も感じなかった。ただ美しさだけがあそこにありました。
その理由は冒頭のPとその娘さんの会話の心地よさが全てを表しているような気がします。
数年前にあずささんに訪れた死は、Pに想像出来ないほどの悲しみを与えたはず。
でも、深い悲しみに暮れて涙を流す時期もいつかは過ぎ去って
辛い出来事は、幸せだった思い出に上書きされていくんですよね。
この作品に出てきたPはあずささんを思い出してももう泣かない。
娘に無邪気に聞かれても優しく答えてあげられる。それだけの年月が経過しているんですね。
現在のPの中には悲しみではなく、あずささんとのかけがえの無い思い出が優しく残っているんだと思います。
だからこの作品は美しいのだと。
たくさんの思い出の中から、悲しい部分を取り除いて純粋に幸せの記憶だけを描いたから。
あずささんの魅力の描き方はたくさんあると思います。
でも、思い出の持つパワーと言うものをこれほどまでに際立てて表現する方法は他にないんじゃないかと思いました。
他ならないあずささんの死によって。
動画についた何気ないコメで思わず納得してしまったものがありました。
5:57の「あずささん、なんて不幸の似合う女……」
私の見る作品が偏っているのか、私に影響の強い架空ノベマス作品がそうだからなのか、
なんとなくあずささんにはそんな雰囲気があるような気が私もします。
あずささんって、他のアイドル達と一緒に描写されると一気に「母」の側面が出てくるんですよね。
いつも後ろの方で優しく微笑んでみんなを見守っていて、
自分より他人を優先させてあげる人。辛くてもそれを顔に出さない人。まさに聖母のような存在。
それだけに慈愛溢れる笑顔の裏に翳りのようなものを感じる時があります。
・・・・なんででしょうかね。。
(私の好きな某架空戦記に登場するあずささんもその雰囲気を持っています)娘をこの世に産み落として旅立ってしまったあずささんというのが、
私の中で妙にリアルだったというのがこの作品に共感した理由の1つなのかもしれません。
シラカワPが何故あずささんしかいないと思ったかは不明ですが、
ひょっとしたら似たような想いがあったのかも。
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特に私が好きな部分。
父娘の会話を経て訪れた1:04~1:09。
最高の入り方、最高の5秒間です。あの時点で私の頭の中がこの作品で埋まりました。
「トップアイドルだった」
この短い言葉で始まったイントロで、その後に続く5分半の物語に一気に思考が飛ぶんです。
良い映画は出だしから名作である、と思ってますがこの作品はその通りだった。
そしてその通りでした。
映像も演出も曲との合わせ方も全てが素晴らしかった。
精錬されたあずささんとの美しい思い出の結晶が描かれてました。
悲しい部分なんて全く感じなかった。本当に綺麗でした。
そして最も私が好きなシーン。6:04。
あれを見た瞬間思わずウルッと来てしまった。
私がさんざん美しい美しいといってるのはたぶんここの演出があるからかもしれません。
あずささんの写真たて。
このカットほど、この作品を象徴するカットはないと思いました。
私が感じた思い出の結晶です。本当に綺麗です。
これ以上ない最高のショットをシラカワPは写真に収めてくれました。
スクショを貼りたいけど、あの部分だけ貼っても駄目なんだよなあ。
あの6分間あってこそのあのカットです。
あの写真を見た時に今回の感想に辿り着きました。
この作品はもう悲しみを描いてはいないと。
美しい思い出を宝箱に封じ込めて、その先の道を歩いてる作品なんだと。
序盤で登場したPとその娘さんが笑顔で話しながら道を行く姿が目に浮かぶようです。
P.S.
私もActorの文字は無くてもいいかなと思いました。
Actorというにはあまりにもリアル過ぎました。全てが。
でも、そこにシラカワPの優しさを感じます。素晴らしい作品でした。
- 2009/06/29(月) 01:11:13|
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